今日は何の日5/17

  男女雇用機会均等法

「不安と期待のまだら模様」

 リクルート社の女性取締役は、1985年5月17日に成立した<男女雇用機会均等法>について、こう述べている。75年からの<国連婦人の10年>で、女性の地位向上と差別撤廃を求める運動が世界的に広がり、85年当時、女性が労働人口の36%を占める日本でも、雇用における男女平等を求める声が高まっていた中での成立であった。

 政府がこの法案を成立させた最大の理由は、1973年、国連で採択された<女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約>の批准が85年と定められ、国内法の整備が必要だったためである。この法律では、募集、採用、配置、昇進などに男女均等の機会を確保する努力を企業に義務付ける、定年、退職、解雇などの男女差別の禁止、労働基準法の女子保護規定のうち時間外、休日労働についての規定は原則的に廃止、深夜業の規制は管理職、専門職は解除する、などが定められている(施行は86年4月1日)。

 この法案の最大の問題点は雇用者への罰則規定がなく、また、女子保護規定の廃止も、家事や育児をかかえる女性を職場から追い出すことになると、疑問の声があがった。

「平等はあいまい、保護緩和は明確」

 これが女性の側からの批判だった。

 法施行後、女性労働者の多い金融機関などでは<コース別人事制度>が導入された。これは性別に関係なく、幹部候補の総合職と一般事務職に分けて新入社員を採用する制度である。しかし、実際は総合職には男性が、一般事務職には女性が多く採用されたため、性別で職種を分けた場合と区別がつかなかった。

 初任給などで男女差が縮まった面もあるが、本法への批判は依然として続いている。